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  • 2016年05月発行

    三笠産業メールマガジン Vol.88 前編 bauma2016特集、新しい大阪支店のご紹介

    三笠の京谷です。


    先月はメルマガの原稿をを書いている最中に熊本の
    地震のニュースが飛び込んできました。
    しかし、あれは前震でありその後に本震が発生するとは
    ・・・全く想像もできませんでした。


    幸い弊社の社員やお取引様に人的被害はありませんでしたが、
    建屋や設備に大きな被害が出たお取引様もいらっしゃいます。
    また、今尚不自由な避難生活を送っている方々が2万人以上も
    いらっしゃるとのことです。
    被災されました方々には心よりお見舞いを申し上げますと共に、
    一日も早く平穏な日常生活に戻れることを祈っております。


    ************************


    さて、今月は久しぶりに本の紹介をします。
    最近読んだ本の中では飛び切り面白く、
    私はGW期間中、夢中になって一気に読み切りました。


    ハワード・W・フレンチ著「中国第二の大陸 アフリカ」
    というノンフィクションで、~100万人の移民が築く新たな帝国~
    とサブタイトルがつく通り、アフリカに暮らす中国人にスポットを
    あてた本です。


    今、アフリカのどこの国に行っても中国人がいるというのは
    よく知られた話ですが、その実態は中々伝わってきません。


    中国のアフリカ進出をめぐる報道は中国政府が援助する
    大型プロジェクトが主体ですが、一方で無数の中国人移民が
    一攫千金を夢見て、海を渡って未知の国で生活していることは
    あまり知られていません。
    (中国は正式に発表をしていませんが、その数は最低100万人、
    一説によるとその倍以上とも言われています)

    移民として中国からアフリカに向かった人の生活は様々で、
    それぞれが選んだ国も違えば、仕事も千差万別です。
    ただ、驚くのは自らの意思でアフリカを目指したことです。

    『中国人は考え得る限りあらゆる職業に急速に浸透している。
    農場や中小工場の経営者をはじめ、医療、教育、密貿易、
    売春など様々な分野で中国人は働いているのだ。・・・・』

    もちろん中国からの大量の移民流入はどの国でも
    もろ手を挙げて歓迎されているわけではなく、
    アフリカ各国で様々な軋轢を引き起こしています。


    本書は中国からの移住者に直接会って本音を聞くと同時に、
    この現象がアフリカの未来にどういう影響を及ぼすのか・・・
    答えではなく、現実の姿を我々に突き付けてきます。


    『アフリカは今歴史の重大な岐路に立っている。
    世界でもっとも成長著しいこの大陸は、
    今世紀半ばには20億の人口を擁するだろう。
    豊かな自然資源の恵みと人口増加の強みを生かして、
    低開発と貧困から抜け出せるか、それとも、
    「またもやどこかの国の付属物になり下がる」のか。
    中国との関係をうまく利用できるかどうかで、
    この先50年間のアフリカの運命が決まる・・・・』


    まさに「事実は小説より奇なり」。
    映像でないのが残念ですが、最高のドキュメンタリーに
    仕上がっています。


    今月も三笠をよろしくお願いします。


    代表取締役社長 京谷 弘也

    三笠通信 bauma2016総力特集

    技術スタッフから見たbauma2016

     bauma展は、ドイツ・ミュンヘンで3年に一度開催される建設機械、資材製造・加工および建設用車輌、鉱業機械分野世界最大の業界専門見本市で、57カ国から3423社が参加し新製品や新技術を展示、来訪者も世界各地から58万人(前回53万人)と多くの方が関心を寄せる展示会です。会場面積も記録を更新し0.61km2(前回0.57km2)とバチカン市国(0.44km2)の約1.4倍ですから、実際に足を踏み入れるとその規模と広さにただただ驚くばかりでした。


     申し遅れましたが私は、開発部に所属しており主にランマーと振動ローラーの設計開発に携わっております。エンジニア目線から今回注目したのは、環境に配慮したECOランマーの登場とバイブロコンパクターの大型化並びにリモート化です。前者は排ガスの全く出ないモーター駆動のバッテリー式やガスカートリッジ式が市販化され、屋内外環境に左右されずに使用出来る点は非常に優位であると感じました。一方、後者ではラインナップが幅広くなり、特に大型化のニーズがある様で中には1tを超える機体も多数登場しました。


     ご存知の通り、ヨーロッパでは人体への影響に配慮して手腕振動値(手に伝わる振動の大きさ)に応じて1日当たりの作業可能時間が法律で決められていますが、大型化と手腕振動規制という二律背反するテーマを『リモートコントロール+コンパクションメータ』で一気に解決しようという動きがあります。本来は振動機ではないコンクリートカッターにも値が掲載されていた程ですので、メーカーにとっては低減対策が必須であり、この様な人間中心の広い意味での安全性にも配慮した商品展開はメーカーの技術力の高さを証明することに繋がっている様です。


     元々、高齢化が進むヨーロッパの中でも平均年齢が一番高いのがドイツです。当然、物価レベルも高いため、現場作業員の賃金や福利厚生費も手厚く、生産性の低い機械は使えません。これが技術イノベーションのゆりかごになっているようです。


     さて、改めて会場を見渡してみますと屋内外問わず、どこで使われるのか想像もつかない程の巨大な建機をはじめ、大小様々な機械・設備・関連部品が展示され、これでもかと言わんばかりの大がかりなデモンストレーションで来場者の目を引き、商品の魅力や最先端技術を存分にアピールしていてどこも大盛況でした。特に『ファミリーDay』と呼ばれる週末の二日間は一般開放され、地元の学生や子どもたちでごった返します。教育の一環として参加を推奨しているのかもしれませんが日本やアジアに比べると民度が高く、建機業界の社会への浸透度の高さを感じました。


     我々三笠のデモコーナーにもたくさんの地元の子供たちが遊びに来てくれました。 初めてバイブロやローラーを運転してはしゃぎ回り、興奮の雄叫びをあげている子供たちの姿はなかなか日本ではお目に掛かれません。彼らが将来のドイツ産業界を引っ張っていくと思うとうらやましい位の環境と言えます。


     三笠エンジニアの一員として負けてはいられない、とこれまで以上に闘志を燃やして帰路につきました。次回のbauma2019も目が離せません。


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    期待感いっぱいに開場を待つ来場者(会期初日)


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    三笠ブース①


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    三笠ブース②


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    巨大な機械に注目する来場者


    開発部開発二課 斉藤 記


    館林工場スタッフから見たbauma2016

     館林工場を代表してbauma2016の視察をして参りました。初めての視察ということもあり、意気揚々と現地に乗り込んだ私ですが3日間足を棒にして歩き回っても会場を一巡するのが精一杯でした。「baumaは体力アップから!」そんな思いに駆られました。


     はじめに欧米メーカー全体を総括した印象として、複合した機能を兼ね備えた「多機能性」、カバーや色彩で変化を加えた「デザイン性」、付け替えがワンタッチで出来る「利便性」、バッテリーやカセットガスボンベを動力源とする「環境負荷低減指向」、既存の高付加価値がスタンダードに変化した「標準化の進化」等々の感想を得ました。


     一方で景気減速が明確になってきたとはいえ、世界の工場と言われる中国・台湾勢の 勢いとたくましさは健在でした。“似ているもの”もまだまだ多く見られ ある種の「感心」すら覚えます。勿論世界規模の展示会とあって、中国・台湾のみならずトルコやスペインなどからの出展企業も多く、またそのコマの規模にも目を見張りました。日本でモノづくりをしている私は「Made in Japan」の優位性を感じていたのですが、安心してはいられないと思います。世界視野で見た場合「“何処”で作ったか?」ではなく「(他に対し優位性のある)“何”を作ったか?」が問われているのだ、ということを痛切に感じました。


     勝ち残るために大切なこととは・・・ 作家の吉川英治氏は、小説『宮本武蔵』で次のように綴っています。「あれになろう、これになろうと焦るより、富士のように、黙って、自分を動かないものに作り上げろ」と。 弊社社長が年頭所感で呼びかけた「今年の三笠のテーマは品質の向上である」との言葉が胸に迫ります。


    「十年一剣を磨く」が如く、日々精進を誓うbauma2016視察となりました。


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    はるばるやってきたランマーとプレート


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    お披露目を待つ新型前後進コンパクター


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    会場設営風景


    館林工場 須原 記


    春日部工場スタッフから見たbauma2016

     春日部工場スタッフを代表してbauma2016に参加して参りました。私は会期中盤の4月14日(木)から現地入りしたのですが、会場上空にはプロモーション用の飛行船が飛び回り、その下には色とりどりのクレーンがまるで遊園地のジェットコースターのように空に向かってそびえ立ち、これなら全部を見て廻るのに3~4日掛かるというのも素直に頷けました。中でも地元 欧州メーカーのコマの広さやディスプレイに掛けるお金は桁違いです。今でさえ完全にアウェーと感じるこの会場に30年以上も前から自分たちが生産している三笠製品を出展してきたと思うと感慨深いものがあります。


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    色とりどりのクレーン(公式HPより)


     さて、工場担当者として時間の許す限り会場をくまなく見学してきました。ライバルの欧州メーカー製品で気になったものを列記しますと、転圧盤センサーがバネ上にセットされたバイブロコンパクター、ハンドル取付部にボルトではなくピンを使用したプレートコンパクター、ブレードのみが上下し体重を掛けることで切削が可能となるコンクリートカッターなどが工場目線で気になりました。


     一方で普段、工場からなかなか出るチャンスが無い私たちにとってbaumaは営業スタッフが製品の口頭説明やデモを行い、ひとりひとりニーズの異なるユーザーに丁寧に対応している姿を見る初めての機会でした。このような生のやり取りを営業・技術スタッフと共有したことも大きな収穫でした。


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    営業トークの真っ最中


      最後に今回自身初めての海外出張で右も左も全く分からない状態でしたが、最終日の終了時刻、堰を切ったように会場中すべての機械が「お疲れ様でした!!」の意味で一斉にクラクションを鳴らすのを聞いた時には思わず鳥肌が立ちました。


    『・・・あぁ、これがウワサのbauma伝統の最終日クラクションかぁ』


    建機業界が一丸となる世界最大級のイベントに三笠の一員として、モノづくりに携わる者として参加できたことを誇りに思います。


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    春日部工場からの精鋭


    vol88-3d.JPGホワイトマン製のパワートロウェル。日本では三笠産業が販売しております。


    春日部工場 佐藤 記


    営業スタッフから見たbauma2016

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    三笠ブースのオープニング風景


     南ドイツの春の始まりは一日のうちに四季があると言われるほど寒暖の差が激しいことで有名だが今回のbauma2016はほぼ毎日冷たい雨が降るあいにくの天候となった。しかし、我が三笠ブースは前回2013年の半分の90m2とスケールダウンしながらも人通りの多いメインストリートに面していたお陰もあり天候不順にもかかわらず来場者はかなり多く盛況だった。


     ブースには新製品であるバイブロコンパクターのMVH-208DSZ、ローラーでは重量級MRH-900DSYとリニューアルしたMRH-700DSCB、また参考出品として切削深さがデジタル表示されるコンクリートカッターMCD-318CEH、ベトナム工場生産でホンダのGXR120並びにスバルのER-12の搭載を可能としたランマーMT-66H/MT-77Sを展示して代理店だけではなくその先の販売店やユーザーにも製品を説明することが出来た。機械にうるさいドイツ人をはじめ現地メーカーが強いヨーロッパ市場の中でMIKASAの名前を知る人にも知らない人にも、完成度の高い三笠製品はかなりの興味、関心を持って頂くことができた。製品自体の魅力でヨーロッパの大手競合会社の派手なブースにも負けない実のあるPRが出来たと自負している。


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    熱心なドイツの三笠ファン


     三笠ブースを訪れてくれたお客様の中には45年も前から代理店を続けて頂いている事を嬉しそうに説明してくれたオーナー様や、自分の客を連れて来て新製品を売り込んでくれたセールスもおり、夜の食事会ではホストである我々以上に場の雰囲気を盛り立ててくれた代理店の温かい心遣いの一つ一つの出来事に非常に嬉しく思えた。また遠く日本から足を運んでくださった国内のお客様との時間もかけがえのないものだった。


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    代理店スタッフとの会食風景


     会期前・会期中・会期後と常にお客様や三笠の色々な部署から手助けを頂きどうにか今回の出展を成功させることが出来た経験から、営業は一人だけで全ての結果を出せるものではないと改めて感じた。そして我々営業員はこうした皆の想いを背負って売上げという形にしていく職種であると気付かされた出張となった。


     最後になりますが、今回弊社ブースを訪れて頂いたお客様、設営から接客までお手伝い頂いた商社の皆様、そしてこの出展を裏で支えて頂いた両工場・研究所並びに各部署の仲間にこの場を借りて厚く感謝と御礼を申し上げます。


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    次回は3年後(公式HPより)


     次回のbaumaは日付としては今回より3日早い2019年4月8日から4月14日までの期間で開催されます。少し気は早いと思いますが皆さんに再びお会いできるのを心待ちにしております。

    海外営業部海外二課 氷上 記